[fusion_text]ここでは、民事信託と比較されることの多い現行制度(遺言書と成年後見制度)について、民事信託との比較という観点からそれぞれ考えていきたいと思います。
1. 遺言書について
遺言書は、自分が亡くなった後、財産をだれに残すのかを法的に決めることができます。近年ではその必要性がようやく認知され、作成する方が増えてきました。財産を残す者の責任として遺言書を作ることはと ても重要だと考えます。
遺言書の問題点
① 一方的な意思表示であること
遺言書は法的にも相手方のいない「単独行為」と言われ、自分の意思を一方的に表示すること
になります。つまり財産を受け取る側の意思は反映されていません。そこで遺す側と受け取る
側のギャップが生じることがあります。
② 書き換えが可能であること
遺言書は気が変わればいつでも書き換えることができます。その人の遺言書がたくさん出て
きた場合に、その中で有効になるのは最新の日付で記載されたものです。時間の経過によっ
て、遺言者の考えも変わってくることもあるので、書き換えをすることも否定してはいけない
のですが、反面相続人間での駆け引きで自分に有利な遺言書を書かせようとし、いわゆる「遺
言書の書き換え合戦」が起こることもあります。
③ 一回的な意思表示(効力は自分が亡くなった後1代限り)
遺言書で決めることができるのは、自分が亡くなった後1代限りです。その後のことは遺言書に記載していても法的な効力はありません。2代3代先まで財産の行く先を決めようと思っても実現することはできないのです。[/fusion_text][separator style_type="none" top_margin="30" bottom_margin="" sep_color="" icon="" width="" class="" id=""][fusion_text]
2. 成年後見制度について
成年後見制度とは、契約や財産管理をすることが難しくなり、判断能力が不十分なために、財産侵害を受け たりすることがないように、法律面や生活面で支援する仕組みです。昔の禁治産制度が2000 年に改正さ れました。毎年3 万人の方が利用しています。現在累計14 万人の方が利用していると言われています。 年々増えているが、高齢者の人数3300 万人に対して○%。認知症患者460 万人に対して○%とまだまだ これからの制度です。
後見制度の類型
法定後見:家庭裁判所が後見人を選任することになります。本人の能力に応じて3段階に分かれていますが、約80%は後見相当と判断され、その運用方法が問題になっています。
1. 後見相当:ほとんど判断できない
2. 保佐相当:判断能力が著しく不十分
3. 補助相当:判断能力が不十分
任意後見:今は元気だが、将来が不安な方があらかじめ後見人を選任しておく制度です。
成年後見制度の問題点
① 個人に焦点があたりすぎている(家族の問題はないがしろにされてしまう)
本人の財産や権利を守るのが後見制度の趣旨であるのでこれは致し方ないことです。家庭裁判所は法律に従って運用するしかないのでしょうがないのです。しかし、利用する側からすると、家族の財産は家族が管理利用するのが当たり前。そこに家族側と家庭裁判所側の意識のギャップが生じています。
② 支出を嫌うため、財産が固定化されてしまう(財産を使用することが難しい)
使用できる財産はほんの一部で、それ以外は使えません。なぜそうなったのか?親族後見人の流用事件の増加しています。本人の財産の使い込みが発覚することが多い。2年で約5億円。ただし、本当の流用事件はいかほどか。後見制度を利用していなければ事件にはなっていないものが多いのではないかと思う。
③ 専門家の問題
家庭裁判所の運用が厳格になってきているため、専門家もそれに呼応するように実情を考えない運用をしているケースがあります。本当はできるものをできないと言ってみたりするケースもあります。[/fusion_text][separator style_type="none" top_margin="30" bottom_margin="" sep_color="" icon="" width="" class="" id=""]